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屁こきマスター・ジンキ
何の自慢にもならないが、俺は通常の人間よりも確実に屁の量が多い。 世の中には奇特な人もいるようで、中には一日に一回も屁をこかない人もいるらしいが、 そこまではいかないにしても、通常の人間であればだいたい一日に二、三発程度だろう。 だがしかし、俺の場合はそんな生易しいものではない。 俺は一日最低五発、多いときは二十発ぐらいは軽くいく。 しかもトイレでするものは抜きにして、だ。 しかし…ここまでの回数になるとやはり厄介なのがその処理だ。 屁とはすなわち空気の塊であり、その空気の塊が肛門という狭く閉じられた門を高速で通過する以上、 必ず音が発生する。 そしてその音は周りの人の耳に入り、軽蔑の眼差しを喰らう結果となってしまうのだ。 …たまに思うのだが、何故くしゃみをしたら心配されるのに、屁をこいたら軽蔑されねばならないのだろう? 空気中に七千発の唾液と無数の病原菌を放つくしゃみの方が、よっぽど不潔だと思うのだが。 まぁいいや。 とにかく、プッと屁をこいて涙目で「ゴメンなさい…」で許されるのは小学校低学年まで。 それ以降からは襲い掛かる反社会人を見るかのような周囲の軽蔑の眼差しを回避するため、 俺は幼少の頃から訓練を積んできた。 それで今日はせっかくだからその一部を皆さんにお教えしよう。 君も明日から屁こきマスターだ!! まず何よりも音を消す方法からだ。 ここにおけるミソは、「肛門という狭く閉じられた門を高速で通過する」という点である。 逆を言えば、「閉じられていない門」であれば高速で通過しようが音は発生しないということになるわけだ。 ここからは実戦がモノを言うので、心して聞いてほしい。 まず椅子に座っている場合、お尻を片方だけ二十度ほど傾ける。 そして屁が一気に出ないように直腸を閉めつつ、括約筋だけを徐々に徐々に緩める。焦ってはいけない。 括約筋が緩み、十分な空気の逃げ道ができたなら、今度は腹筋に力を入れて静かにその空気の塊を押し出す。 ここは割と一気にいっても大丈夫だ。 どうだい?少しも音がしなかっただろう? この応用は座っているときのみならず、立っているときも活用できるので、慣れてきたなら是非試して欲しい。 さて次は事後処理編だ。 腸内に長時間待機していた性質上、当然のごとく屁は臭い。 いまに音を消そうとも、その臭いを誤魔化すことは甚だ困難。 ここで素人がしてしまいがちな失敗が、 「おい、何か臭わないか?」 と自分で言ってしまうことだ。 人間の鼻は意外と鈍感(他の動物よりも視力が発達しているため、その他の感覚は著しく劣る)なので、 注意しなければ気付かない場合が多々ある。 よってここは完全無視。 たとえ他のヤツが「臭くないか?」と騒いでも、「お前がやったんじゃねぇのか?」という 冷めた目線でそいつを睨んでやるのだ。 一分もすればそいつは黙るだろう。 なお、この戦法は先述のテクニックを失敗して、屁の音が発生してしまった場合も使える。 どんなことがあろうと“我関せず”の態度を取っていれば、音を聞いたヤツの方が「あれ?俺の空耳?」 と思いだすようになるからだ。 以上の点を踏まえ、これからも 健全な屁こきライフを満喫してほしい。 慣れれば俺のように、 客のオーダーを取りつつも屁をこくという荒業 も可能となるだろう。 [戻る] |