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隊長の洗脳演説会

げぇーっ


やぁこんにちわ。

突然だけど、横山光輝の『三国志』読んだことある人はいる?

そう、内容はともかくあの「げぇーっ」という台詞が頭に残る歴史漫画だ。

あいつらさ、とにかく驚いたときには「げぇーっ」と言いたがるよね。


敵兵を見れば「げー」


孔明を見つければ「げぇーっ」


関羽を見つけようものなら「げぇーーーっ」


という風に、とりあえず全ての驚きリアクションはコレ一つで足りると勘違いしてる。

何ともボキャブラリーの低い作家だよねェ。


だいたい日常生活で「げぇーっ」とか言うか、フツー?

俺は今まで一度も、驚いたときに「げぇーっ」というヤツに会った事無いぞ。

もっと台詞回しを磨いてもらわないと、俺のような高尚な読者には少々物足りないよ。






まぁそんな腐れた中国の歴史なんてどうでもいいさ。

そんなことより俺の身に起きたとびっきりの悪夢を聞いてくれよ。



俺はその日、一週間ぶりの出勤だったんだ。


何故かって、ずっと腸炎を患っていてね……仕事に出れなかったわけさ。

しかも、その一週間前の最後の出勤の日のラストはあまりにも腹が痛かったんで

バイクの振動に耐えられんと思って結局親に車で迎えに来て貰ったため、

乗ってきたバイクはそのまま店の前の歩道に停めたままにして置いたんだわな。


バス停から降り立って仕事場の方へ向かうと、遠めにオレンジのボディが見える。

俺が置いていったそのままの場所でジッとしている鈍重な鉄の塊。

ああ、何て可哀想な俺の愛しのドラ☆スタちゃん(ドラッグスター)。

いつまでたっても姿を見せない持ち主を待ってひたすらそこにうずくまり続けたのね!


ゴメンね、ゴメンね。

置いていってしまってゴメンね。

今すぐそこに駆けていって、またお前に熱いを入れてやるよ!




思わず走り寄る俺。




が。

そこで異変に気付いた。









シートの上に何か載ってる。









何か黒い泥のような物体。

シートの上にべたぁっとへばりついている。




何だコレ?




俺は近くの植木の枝をポキンと一本折り、何の気なしにその泥を押してみた。

するとその泥は醜く形を崩し、ずちゃりと気持ちの悪い音を立てて下へと落ちる。

泥の断面から黒ではない黄褐色の肌が現れ、同時に異臭が鼻をつく。




この臭いッ!


知っているッ!!


知っているぞッッ!!!!





知っていると言うか、これはまさしく


俺が一週間嗅ぎ続けた苦痛の臭いッッ!!!!

















(;`д´)げぇーーーーっっ


 うんこ塗りたくられとるッ!!




すげぇ! すげぇよ!

うんこ山盛りだよ! うんこ大接戦だよ!

皆でうんこパーティーが開けそうだよ!

わ〜〜いわ〜〜〜〜〜〜い♪♪












(;´_ゝ`)いや、有り得ねぇ…





流石に眩暈がしてきたので、

倒れゆく体を支えるために慌ててバイクのハンドルを握ろうとs

















(;`д´)げぇーーーーっっ


 うんこ塗りたくられとるッ!!




すげぇ! すげぇよ!

こんなところまでうんこ特盛りだよ!

ご丁寧に両グリップともうんこまみれだよ!


っつか、凄ぇ臭いだよッ!








ああ、それにしても何ということだ。

偉大なる横山光輝先生、俺今日初めて知りました。


人間って、本当に驚いたときは


「げぇーっっ」と言うんですね。


「うわー」とか「ま、まさかッ!」とか言ってる内はまだまだ余裕で、


これ以上もう有り得ないという緊急事態になると、口が勝手に


「げぇーっっ」という形になるのです。


そして通行人の奇異の目も憚らず叫ぶのです、


「げぇーっっ」と。




大変勉強になりました。

これからも小説などで驚きを表すときは迷わず「げぇーっっ」を使おうと思います。










ちなみにこの嫌がらせ、誰がしたのか未だに分かりません。

というか、一週間ずっと歩道に停まり続けた俺のバイクに対して

怒りを覚えるというのはまだ分かるんだけど、

スプレー缶で落書きしたり、タイヤをカッターで切り付けたり、

キーホールにガムを詰め込んだり、サイドバックにゴミを入れたりと、

様々な方法が幾らでも用意に思いつく中、

わざわざ街の真ん中でうんこを塗るという選択肢を取った

犯人のその恐るべき犯罪センスに俺は脱力してしまい、

怒りを覚える前に可笑しさがこみ上げてきてしまって、

それから五分ぐらい笑いが止まらんかった。




ちなみに本格的に怒りを覚えだしたのは今日の午後。


何故俺は貴重な休日の時間を、バイクに塗りつけられた他人のうんこ をこそぎ落とすために使っているのだろうか


と考え出すと無性に腹が立ってきて、


犯人見つけたら絶対俺のうんこ喰わす。


というやや危ない衝動に目覚めながら、

水に濡れて再び臭いを取り戻したうんこ野郎をたわしで擦り続けたのです。



合掌。













(;`д´)げぇーーーーっっ




え、いや何となく。




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